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管理人の徒然
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久しぶりに子供達を連れて実家に墓参りにいってきました。東京に住む姉もやってきて、母の墓前にお参りし、そのあと実家で昼食会となりました。父と奥さんが朝から一生懸命用意してくれた料理が食卓にずらり。皆で楽しく頂きました。息子は孫唯一の男の子。久しぶりに酒杯を交し、じい様はとてもうれしそうでした。

この二人、さすがに血は争えぬもの、酒好きなところがよく似ています。二人でビール2L日本酒を5合くらい飲んでしまいました。父は今年で81歳になりますが、髪もまだふさふさとはいかないまでもちゃんとはえているし、歯も全部自分の歯で肌の色つやもよく、腰も曲がっていません。ぱっと見はまだ70そこそこにしかみえません。昨今の社会情勢についても、はっきりとした意見を述べるし、あと20年は大丈夫そうだと思わせる元気さです。

しかし、さすがに年齢は81歳なのだし、心や体が弱って来たら聞くにも聞けないだろうということで、万が一の際、葬式の祭官は誰に頼めばいいの?という直球質問をしました。実際、父が信仰している宗教を子供である私や姉は信仰している訳ではないので、ちゃんと父の意思を確かめておかないとその時右往左往することになってしまいます。とりあえず、元気なうちにどうして欲しいのか、意思と思いをしっかり残しておいてほしいと伝えました。

父もおいおいと思ってはいたようですが、とかく男性は見送られることを前提にしている節があるんですよね。
今の奥さんは父親の信仰について理解を示してくれてはいますが、いかんせん、祭祀のことなどわからないし、祭祀権を相続する予定の私としては、その辺、ものすごく重要なわけです。

元気なうちにしっかり人生の最後をどう締めくくってほしいのか、ちゃんと意思表示をしておいてほしいと要請したのです。そうしたら、「ぜひ、頼みがある。」と言い出しました。

「今まで、岩波新書をずーと買い続けてきた。青版・黄版・新赤版と毎月楽しみに買いそろえてきた。今まで買いそろえてきたものは孫息子のSにやる。だから、俺が死んでも買い続けてくれ。」

買いそろえた本を、受け継いでくれというのはわかります。ありがたーく受け取って、状況さえ許せば私が死ぬくらいまではもっていてあげたいとは思います。でも、「買い続けてくれ」とくるとは思いませんでした。びっくり!

年寄りの願いですからねえ・・・・、無碍に断るのも可哀想だし、「じいちゃんの思いはわかった。できるだけ努力はしよう。」と答えておきました。

墓守娘はじいさんの蔵書のおもりまでしなきゃいけないんでしょうか?本マニアもここまでくると呆れます。それも、貴重本の蒐集ではなくて、「岩波新書」というところが泣かせます。

貧乏な家に育った父は、書生として住みこんだお大尽の家で、文化と知識に触れてとてつもない憧れを持っていたのでしょうね。田舎教員の安月給で毎月必ず新刊を買い求め続けて50年。ちゃんと読んでいるようだし、大したものだと思います。これからも元気な限り、毎月新刊を買い続けるのでしょう。

できればあと10年でも20年でも買い続け、読み続けていてほしいと思います。まあ、その後の事は、その時が来たら考えましょう。いやあ~それにしても、そんな執念をじいさんが持っているとは知らなかったです。人間ってわからないものですねえ・・・・。


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