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管理人の徒然
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残業まみれの平日が終わり、今日はお遊びの日です!!
今日は朝から晴れてさわやかな気温でスタート。洗濯物を干して、いざ横浜へ~!!

今日のプログラムは、横浜美術館で開催中の『プーシキン美術館展』と記念講演会です。
講演会の講師は、池田理代子先生です。ハガキによる申し込み抽選で見事当選したんです!!

いつもの出勤時間に家を出て、横浜へ向かいます。副都心線が元町・中華街まで直通となって初めて乗ってみました。乗ったらそのまま一本でいけるって便利ですね。運よく座れたので、うとうとボーっとしながらみなとみらい駅までいけました。

横浜美術館に行くのは久しぶりだったのですが、いつものように地下から上がって行ったら、景色が一変していました。出口の周囲が空き地になっていたのに、いつの間にか商業施設ができていて、いったいここはどこ?の状態でした。何が何やらわからず、とりあえず看板を頼りにぐるっと回ったら、何のことはない、空き地に建物が建っていたというだけの事。しばらく行かないとこういう事が起きるわけなんですね。

横浜美術館の敷地に入っていってびっくり。なんと、クラッシックカーがずらりと並んでいます。思いがけず珍しいものを見る事ができてラッキーです。


  



開館時間の10時ちょっとすぎに着いたのですが、すでに入館まちの列ができていました。
土曜日なので、高校生まではタダなんですね。夏休みに入ったし、子供達の姿が多かったです。

展示は4部構成になっていて、大きく古典主義的な作品と、印象派以降の作品とに分かれています。今回出品されている66点はなかなかの優品ぞろい。フランス絵画の300年と銘打つだけあって、フランス絵画史の流れをなぞるような作品が揃っています。大作というような作品は無いけれど、粒ぞろいの作品がこれだけ集まっている展覧会はそうはないと思います。
フランス絵画の流れを知るという意味でも興味深いですし、自分好みの作品を探して楽しむというのにも楽しい展覧会だと思います。

今回気に入った作品は、なんといってもブーシェの「ユピテルとカリスト」。ブーシェの描く女性の優美さと可愛らしさは最高です。ダヴィッドの「ヘクトルの死を嘆くアンドロマケ」ルーブルにある作品の下絵という事ですが、よりアンドロマケの表情がなまなましくて心に染みました。ダヴィッドは新古典の巨匠なんですけど、実は心の奥底にロココがある人なんだと感じる事があるのです。ジェロームの「カンダウレス王」の王妃の後ろ姿もすごく美しくてしばし見とれてしまいました。アングルの「聖杯の前の聖母」は本当にアングルらしさ全開。アングルの一分の隙もない構成力と描写力には圧倒されます。アングルは好きな作家とは言い難いのだけれど、作品の素晴らしさという点では文句無しなんですよね・・・。

ルノワールの「ジャンヌ・サマリーの肖像」は、見ているだけで幸せになれます。ピンクの背景に浮かび上がるキュートなジャンヌ・サマリーの姿を見ていると、心が浮き立ちます。ルノワールって本当に女の子を描かせたら右に出る者はいないと思います。セザンヌは余り好きではなかったのですが、今回来ている「パイプをくわえた男」はすごく気に入りました。そのほかピカソやアンリ・ルソー、キスリングの作品も心魅かれるものでした。横浜での会期は9月16日まで。

展示を楽しんだ後は、クラッシックカーの展示を見て楽しみ、ブラッスリー・ティーズ・ミュゼでランチをいただきました。美術展とのタイアップメニューを楽しみたかったので、予約しておいたのですが、大正解。「本日は予約でいっぱいです」との張り紙がありました。

特別メニューは以下の通り。 美術展の半券提示で2800円のところ300円引きの2500円に。

アミューズ ヴィシソワーズとコンソメジュレ
       ソワレドパリ風

・ 前  菜 夏野菜とサーモンのラタトゥイユ仕立て
       バジルとオリーヴのソース

・魚料理または肉料理
       カジキマグロの香草パン粉焼き
       ルッコラと15穀米のリゾット添え
        または
       ハンガリー産マグレ鴨胸肉のロティ
       赤ワインとオレンジのソース

・デザート  アールグレイ風味のタルト 甘夏のグラス添え コーヒーまたは紅茶

某嬢とメインをシェアしていただきましたが、カジキマグロも鴨もとても良いお味でした。
目も舌も存分に楽しみ更に、今日はスペシャル講演会もあるといのですから、なんという贅沢!
 
今回の講演会は当選ハガキに席指定があり、席取りにならぶ必要がなくて助かりました。
これまた運よく池田先生のお姿が間近に見られる場所でした。
講演は「時代を描く、人を描く、西洋絵画と漫画」と演題でしたが、横浜美術館の主任学芸松永氏が聞き手役になり、和やかな雰囲気のトークショーといっ感じでした。
 
池田先生は還暦を過ぎているとはとても思えないお美しさ!前半は松永氏のナビに従って、今回の美術展の為に書き下ろされた「三都物語」の裏話やオル窓の取材の為にソ連時代に訪れたロシアの思い出等を、後半では、展覧会に出品された作品の中でお好きな作品を5点上げて、それについての感想やご自身が絵をご覧になる際の楽しみ方などをお話下さいました。
 
特に印象に残った話をランダムに。
 
ソ連邦時代のロシアを取材された時のこと、当時は共産主義体制が行き詰まり、民主化の流れが生まれつつあったころだったけれど、まだ帝政ロシア時代を生き抜いた方々がいて、「帝政ロシアでは、牛馬と同じ扱いで、食べる事さえままならなかった。革命によって、食べられるようになった。」と言わわれた。共産主義とは本来高度に爛熟した資本主義から移行するものとされていたが、帝政からいきなり共産主義体制へと変わってしまった為に、弊害が起きたのかもしれない。本当の意味での、共産主義の実現は、まだこれからかもしれない。
 
池田先生は、学生運動世代で、マルクスやエンゲルスの思想を勉強された方なんだなあ・・・・と実感しました。歴史物を描くにしても、バックボーンに唯物史観があるのでしょねえ。
 
池田先生ご自身の絵の鑑賞スタイルとしては、絵の作や題名と言った情報より、ご自身の直感によって絵を感じ取ることを重視されているそうです。そうするとどうしても目が行く作品があって、振り返ったらそれが、ヴァン・ダイクの作品だった。それでご自身の好みがヴァン・ダイクなんだってお気づきになったんだとか。それから、完成された作品より、デッサン等に作者の絵に対する姿勢が表れているので、それを見て感じる事がお好きともおっしゃっていました。
 
今回の展覧会で興味を持った作品を5点上げてのお話のなかでは、18世紀の女流画家マルグリット・ジェラール「猫の勝利」を上げ、「18世紀にはどんな天才であっても、女であるだけでいないも同じ」という一文に衝撃を受けたこと。自身も女である事で沢山の制約を受けた事などをお話されていました。
 
ベルばらの大ヒットによって、少女漫画の地位を押し上げ、ご自身も経済的な自立を果たされたのに、見ず知らずの男性から、「女のくせに家を建てるなんで生意気だ」という嫌がらせ電話を受けたという話などを聞いて本当に驚きました。
 
ジャン・ルイ・ヴオイユの「エカテリーナ・ナルイシキナの肖像」についてのお話の中では、「実は、オスカルの顔をかく時には少し外斜視気味描いていた。」とおっしゃっていて、びっくり。「エカテリーナ・ナルイシキナの肖像」では確かに描かれた女性は明らかに外斜視気味。そう描く事によって、鑑賞者の視線を外し、表情が神秘的で魅力的になる効果があるのだとか。コミックスで確認しないと!!って思いましたねえ。
 
今後のご予定としては、古典竹取物語をコミックス化するお仕事をなさっていそうです。
西洋ものばかり書いているように思われているかもしれないけれど、ご自身は子供の頃から日本の古典にも親しまれていたそうで、特に平家物語がお好きなのだとか。
オペラの演出などにも意欲的に取り組まれているそうです。
 
ベルばらの美しいセリフは、日本の古典に幼少期から触れて来たからこそのものだったんですね・・・。付け焼刃じゃない教養って大事なんだとしみじみ感服。
 
その他、いろいろ興味深いお話を聞くことができて、あっという間の1時間半でした。
とにかく知識欲旺盛で、天真爛漫で、自由闊達なお人柄がお話の合間から感じられて、このお人柄から沢山のキャラクター達が生み出されてきたんだなあ・・・と、納得でした。
 
40年経ってもいまだに新しいファンを獲得し続ける作品を生み出された池田先生。これからもますます活躍していただきたいです。

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